城下町発掘ニュース特集 ②

元気くんと城下町にどんな関係が?!都留市と水力発電の深〜い歴史

Written by都留文科大学 なつみ

都留と水力発電の歴史

美しく豊かな水に恵まれた都留市は飲料水や作物の栽培だけでなく、水力発電という形でも私たちの生活を支えています。そして、その水力発電には長い歴史があり、城下町との繋がりもあります。

まずは、都留市と水力発電の歴史を振り返っていきましょう。

三の丸発電所

三の丸発電所  1905年に家中川の落差を活用した三の丸発電所(谷村発電所)が作られました。三の丸発電所は山梨県では甲府に次いで2番目に作られ、谷村町及び十日市場に県内で2番目に多かった灯数1200個の電気を供給しました。この発電所は1953年に一旦は廃止されましたが、その後2010年に「元気くん2号」がその跡地を利用して設置されました。100年以上もの歴史があるとは驚きですね。

駒橋発電所 落合水路橋

駒橋発電所 落合水路橋  駒橋発電所は電力会社である東京電灯によって1906年から建設工事がなされ、翌年に運転が開始された水力発電所で、大月市に位置しています。この発電所は、当時工業化が進んだ東京や神奈川で電力のニーズが高まったことと、海外の化石燃料への依存から脱却する目的から設置されました。そして、この発電所に水を送るための橋が都留市にある落合水路橋です。この橋は建設当時と同じ姿を保っており、国の登録有形文化財にも指定されています。近くにはCafe織水さんもあるので、一息つきながら歴史を感じてみてはいかがでしょう?

鍛冶屋坂水路橋

鍛冶屋坂水路橋  都留市にある鍛冶屋坂水路橋は、水力発電のための水を運ぶための橋で、地元の人からはピーヤと呼ばれています。橋を支える柱(橋脚といいます)のことを英語ではPierと言うため、ピーヤと呼ばれています。都留アルプスのコースの途中にあり、橋の下で手を叩くと音が反響し、「鳴り滝」という現象が起こります。

元気くん・環境教育プログラムについて

元気くん・環境教育プログラムについて 2006年に作られ、「元気くん」の愛称で親しまれてる家中川小水力発電所について、今回は都留市役所地域環境課環境政策室の吉田さまと中野さまにお話しを伺いました!


 「元気くん」は都留市政50年のシンボルとして作られた発電所で、2006年に「元気くん1号」、2010年に「元気くん2号」、2011年に「元気くん3号」の稼働が開始されました。この愛称は当時の市長であった小林義光元市長が、水力発電をきっかけに街が元気になってほしいという思いを込めて名付けたものです。
都留市では2015年から環境教育プログラム「エコ探検隊つる」を行っており、「元気くん」の見学をはじめとする様々な環境教育に力を入れています。市内外から、子どもから大人まで幅広い年代の人々が見学に訪れているんだとか。参加者からは見学後、環境について意識的に考えるようになったという感想があるなど、実際に人々の環境への関心を高めるのに役立っています。

都留の城下町や当時の家中川と、「元気くん」の取り組みの繋がりについて

都留の城下町や当時の家中川と、「元気くん」の取り組みの繋がりについて なつみ:元気くんプロジェクトが発足した背景にはいつ、どのような経緯があったのでしょうか?

吉田さん:都留市ではかつて絹織物産業が盛んに行われていたこともあり、水や川、水車は人々の生活に身近なものでした。絹織物を作るために各家庭それぞれに水路がつながっていたほどです。その名残として、市内には細い川が多く、現在それらは農業用水路として利用されています。谷村町内に流れる水路は「家中川」という愛称で呼ばれており、昔から都留市民にとって水は身近な存在でした。家中川の豊かな落差自体は谷村発電所に由来し、昔からあったものですが、それを活用して発電事業ができるのではないかと考えられました。こうして2006年に「元気くん」プロジェクトが発足されました。市政のシンボルとして1号、2号、3号と作られました。

元気くんは3つある!それぞれの違いは?

元気くんは3つある!それぞれの違いは? なつみ:元気くん1号、2号、3号のそれぞれの特徴について教えてください。

吉田さん:「元気くん1号」は都留市役所の駐車場にある水車で、ザ・水車と言えるような、皆さんが水車と聞いて想像する見た目の水車となっています。これはこれは開放型の下掛け式で、水車の下を水が通るようになっています。


「元気くん2号」は高尾神社の近くにある水車で、谷村発電所の跡地を利用しているのが特徴です。これは1号と違い、水車の上を水が通るようになっていて、家中川の落差を利用して発電しています。


「元気くん3号」は谷村第一小学校近くにある水車です。利用できる落差は少ないものの、狭いエリアでも発電でき、発電量は3機の中で一番多いのが特徴です。

なつみ:それぞれ特徴がわかると見方が変わりますね!

なつみ:「元気くん」ととてもキャッチーな名称が印象的ですが、家中川小水力市民発電所の名前の由来はありますか?

中野さん:「元気くん」という愛称は、「元気くん1号」が設置された当時(2005年頃)の市長であった小林義光元市長によって考案されたものです。この愛称には、水の力によって発電された電気をきっかけに街が元気になり、明るくなってほしいという思いが込められています。また、「元気くん」という見聞きしただけでわかりやすい愛称にすることで、市民が親しみを持てるようにしたいという狙いもあります。

環境教育プログラム【エコ探検隊つる】について

環境教育プログラム【エコ探検隊つる】について なつみ:環境について学べる公開プログラムがあるとお聞きしました。こちらはどのようなプログラムですか?

中野さん:環境教育プログラム「エコ探検隊つる」ですね。こちらは2015年に始まったプログラムで、地域の方に環境問題を身近に感じてもらい、環境教育に注力するために設立されたものです。「エコ探検隊つる」という名称は都留市が行っている環境教育の愛称であり、総称でもあります。「環境教育」と言うと固く感じられるので、皆さんに身近に感じてもらえるようにこの名前がつけられました。食品ロスについて考えたり、実際に「元気くん」の見学に行ったりするなどのプログラムを設けています。また、こちらからプログラムを提案するだけでなく、参加者の要望に合わせてプログラムを考案することもあります。

吉田さん:環境教育プログラム「エコ探検隊つる」自体は2015年から始まりましたが、このプログラムが作られるより前から「元気くん」の見学の受け入れは行っていました。環境問題について地域の皆さんに身近なものとして考えてもらえるように、環境教育により注力する必要が出てきました。そのため、2015年に都留市役所で専門の部署として地域環境課が設置されました。これに合わせて環境教育プログラムをメニュー化し、「エコ探検隊つる」が始まったという経緯があります。



なつみ:どの年代の参加者が多いですか?

中野さん:「元気くん」以外のプログラムは小中学生の参加者が多いですが、「元気くん」に関しては幅広い年代の人々が訪れます。夏休みを利用して子どもたちが訪れることが多いです。「元気くん」が当たり前なものとして生活に馴染んでいるためか、都留市内で生活している方々で見学に訪れる人は少ないです。ただ、「元気くん1号」は知っていても「元気くん2号」「元気くん3号」は知らないという方もいるので、ぜひ市民の皆さんも見学に来ていただきたいです。



なつみ:参加者の感想はどのようなものでしょう?

中野さん:プログラムに参加してから生活に良い影響が出ているという感想を多々いただいています。ある学童の先生からは、このプログラムを通じてゴミの削減について学んだ後、自分から進んでゴミ拾いをするようになった児童がいると伺いました。環境問題について意識的に考えるようになった人が多いようです。また、水車が思ったより大きいという率直な感想もありました(笑)。大人の参加者からは、開けた水路があるのが珍しいと感想をいただくことがあります。一般的な水路はゴミが入らないように蓋がされているものが多いため、都留の開けた水路は魅力的なものだと思います。市役所前の家中川で鯉を飼っているのも、実はゴミのポイ捨ての啓発も込められています。

参加者は市民以外にも!全国的にも水車発電が注目されるワケ

中野さん:環境教育プログラム「エコ探検隊つる」では、小中学生や親子の参加者だけでなく、大人の参加者も多いんです。

なつみ:そうなんですか?理由が気になります…!

中野さん:水車による発電を導入しようと考えている関係者の方が「元気くん」を先行事例として捉え、視察に訪れることがあります。水力発電は、発電効率は良いですが、水利権(河川の水を使用するための権利のこと)の関係で管理が難しいという事情があります。そのため、「元気くん」は全国でも珍しい取り組みとして注目されています。設置を検討している方たちだけでなく、地球温暖化などの環境問題に関心のある高齢者の方が訪れたり、研究のために全国の大学生からメールで質問を受けたりしています。


なつみ:元気くんが発電した電気はどのように使われているのですか?

吉田さん:「元気くん」によって発電された電力は3機とも都留市役所庁舎のために使われており、庁舎の30~50%の電力を賄っています。売電するのではなく、電力を自家消費するのがメインである点が珍しい取り組みだと言われています。余った電力のみ売電していますが、利益を求めているわけではないため、基本的には自家消費を行っています。「元気くん」設置当初からエコな発電をすることが一番の目的でした。さらに、「元気くん」は気軽に見学しやすいという長所があり、環境に優しい発電にはこんなタイプもあるんだということを普及・促進するのに重要な役目を果たしています。

これからのエネルギー


つるエネルギーの紹介
 最後に、都留市の電力会社であるつるエネルギーを紹介します。つるエネルギーは2021年に設立されたばかりの新しい電力会社です。つるエネルギーは地域経済を循環し、産業インフラを作るために、地元事業者や地域金融機関との連携を積極的に行っています。地域で電力を生産し、地域住民がそれを消費することで経済の循環を作る試みがなされているんですね。さらに、つるエネルギーは地域の学生とも活動に取り組んでいます。2022年には都留文科大学のサークル「しぇあはぴ」とスーパーマーケットおかじま都留店とのプロジェクトをサポートし、ともに地域の活性化を目指しました。地域に密着した企業ということで、今後の活動に期待したいですね。

つるエネルギー公式



インタビュアーの感想
 秋元氏が作った家中川が利用され、水力発電の技術の発展が都留市の中でも感じ・学べるスポットが多いことに驚きました!
 山梨県の中でも2番目と早かった水力発電の導入の歴史と、「元気くん」プロジェクトの珍しさに、都留市ではいつでも新しいことが始まっている共通点を見つけた気がします。
 家中川や「元気くん」がハブとなって全国的にも先進的な取り組みが行われていたり、それを目的に市外からも人が集っていることを知り、また一つ都留市を誇りに思えることが増えました。

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