城下町発掘ニュース特集 ②

全国俳句大会を毎年開催?!都留と俳句の歴史について、都留俳句連盟さまにインタビューしてみた!

Written by都留文科大学 すず子

芭蕉の来訪が都留の俳句活動を盛り上げた?!

芭蕉の来訪が都留の俳句活動を盛り上げた?!  松尾芭蕉のゆかりの地でもある都留は、江戸時代から俳諧文化が盛んであったといわれています。今日においても、俳句は都留の人々にとってかけがえのないものであり、その文化は世代をこえて受け継がれています。
そんな都留と俳句の知られざる関係性や、俳句を通じた人と人とのふれあいについて、都留市俳句連盟会長の板津松男さんと都留市教育委員会の下田かさねさんにお聞きしました。

すず子:松尾芭蕉の来訪は都留にどんな影響を与えたのですか?

板津さん:都留の俳句の歴史と松尾芭蕉の存在には深いつながりがあります。天和2年の大火によって家を失った芭蕉は、甲斐谷村藩と武蔵川越藩の国家老で、俳人でもあった高山麋塒の誘いで谷村を訪れるのですが、滞在中、芭蕉はいくつもの名句を世に残したのです。


すず子:なるほど!都留が「芭蕉のさと」とよばれる由来はそのような歴史にあったんですね。

板津さん:この「江戸から来た俳諧師」である芭蕉の来訪が、都留の人々が俳句に関心を持つ大きなきっかけにもなったのです。芭蕉の来訪後、多くの俳人が江戸時代から明治にかけて都留の地で活躍していたことも記録に残されています。こういったことからも、都留では芭蕉の来訪によって俳諧文化が盛んになったと考えられます。江戸時代から続くそのような文化が、今日の都留にも受け継がれているのです。

すず子:都留の俳句会の団体は他の地域と比べて多い方なのでしょうか?

板津さん:令和4年に創立50周年を迎えた都留市俳句連盟は、都留市内の6つの句会によって構成されています。全体の会員数は約45名です。都留市のように地域ごとに俳句会があるのは、珍しいことだと思います。現在は解散してしまった句会もありますが、会員は多い時には100名を超えていたこともあります。

すず子:かなり大規模ですね…!俳句連盟が今日の都留の俳諧文化を支えているのですね。

都留には句碑が多いのは、俳句好きが多いから?!

都留には句碑が多いのは、俳句好きが多いから?! すず子:田原の滝のところや桃林寺、城南公園など都留市には至る所に松尾芭蕉の句碑があるなと感じます。どうしてでしょうか?

板津さん:都留市内には、お寺や公園など、至るところに句碑があるのですが、建立された年代は江戸時代から平成までとさまざまです。市内に点在する数多くの句碑は、都留の人々が長年俳句に親しんできた証でもあります。

すず子:句碑は市やお寺などが建てるものなのでしょうか?

板津さん:句碑のなかには個人が建立したものもあるんです。俳句連盟の会員も、よく句碑を建てたがっています。


すず子:そうなんですか!個人で建てられるものなのですね!都留の俳諧文化への親しみの深さが伝わってきますね…!

全国から2000句が集まる!都留市ふれあい全国俳句大会とは?

全国から2000句が集まる!都留市ふれあい全国俳句大会とは? すず子:都留市ふれあい全国俳句大会とはどのようなイベントなのでしょう?


下田さん:年に一度開催される、都留市主催の俳句大会です。全国規模の大会で、市と俳句連盟が協力して運営しています。平成4年に山梨県で行われたねんりんピックの流れをくんで、街おこしの一環としてはじめられました。今ではおよそ2000句もの一般の部、高校・大学生の部ともに2000句を超える作品が集まるようになっています。

すず子:2000句も?!すごいですね…!大会の告知等はどのようにして行なっているのですか?

下田さん:パンフレットを全国の公共施設や、大学、高校などに配布しています。また、俳句雑誌やインターネットサイト、都留市のSNSでも宣伝をしています。過去3年間に大会への投句歴がある方にも案内を送っています。

すず子:宣伝にもかなり力を入れているのですね。

板津さん:都留市のような小さな自治体で、全国的なイベントを行っているのは珍しいことだと思いますよ。

下田さん:応募作品の数も徐々に増えてきているので、この大会の開催を通して俳句人口の増加にも貢献できればと思います。

俳句講座から子どもたちへの教育活動まで、都留市俳句連盟の活動

俳句講座から子どもたちへの教育活動まで、都留市俳句連盟の活動 すず子:都留市俳句連盟さんではどのような活動をされているのですか?

板津さん:現在は新年俳句大会などの俳句連盟独自の大会や、俳句講座を開催しています。また、個々の俳句会でも月に一回句会を開いています。

すず子:かなり活発に活動なさっているんですね。コロナ禍になって何か活動に変化はありましたか?

板津さん:以前は地域に住む子どもたちのために、俳句かるた大会を開催していました。コロナの流行や会員の高齢化によって存続が難しくなり、廃止になってしまったんです。

すず子:そうだったんですね。俳句かるた大会はどのくらいの規模のイベントだったんですか?

板津さん:参加者は毎年100人くらいいて、連盟にとっても大切な事業のひとつでした。使用するかるたも全て手作りのものなんですよ。

すず子:丁寧に作り込まれていて、とても綺麗なかるたですね…!俳句かるた大会の復活は今後あるでしょうか。

板津さん:もう一度やりたい気持ちはもちろんありますが、現状はかなり厳しいですね。制作したかるたも、なんらかの形で活用できればと思っているんですが。

すず子:もったいないですね(泣)ぜひ復活のためにお手伝いしたいです!

編集後記

芭蕉の来訪をきっかけに盛んになった俳諧文化は、今日の都留においても人と人とをつなぐ大切なものなのだと感じました。
また、都留の人々の俳句への想いの深さは、句碑など、町のあちこちに形として残っていることを知りました。今度都留を歩くときは、そのような「目に見える俳諧文化」にもふれてみたいです。

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