城下町発掘ニュース特集 ②

都留が城下町だった要素はどうしたら見つかるのか?日向先生に聞いてみた!

Written byなつみ

城下町の頃と現在の谷村を比較 まちあるきアプリでおさんぽしてみた!

城下町の頃と現在の谷村を比較 まちあるきアプリでおさんぽしてみた! 2017年に開発された「つる歴史さんぽ」というまちあるきアプリ。江戸時代の地図と現在地をリンクさせることができ、地図上にピンを刺して写真や文章で情報を追加することができます。
 現在登録されている古地図は谷村町周辺の下谷のものが2種類と、朝日曽雌のものが1種類。今回は谷村町周辺をこちらのアプリを使いながらおさんぽしてみます。

昔の地図と現在地を比較!

昔の地図と現在地を比較! 現在地は市役所前のセブンイレブンの反対側にあるC-table株式会社のオフィス。
現在の国道39号線や裁判所前の大通りも変わっていませんね。


何か大きな建物がありそうなので拡大してみると…

現在の裁判所、昔は…?

現在の裁判所、昔は…? 現在の裁判所の場所には、陣屋(:江戸時代の幕藩体制における大名領(藩)の藩庁が置かれた屋敷、もしくは徳川幕府直轄領の遠国奉行や代官の住居および役所が置かれた建物(代官所))があったようです。

先生に会いに行ってみよう

こういったアプリがあると、都留が城下町だった事実がすっと自分の中に入って来ますよね。このアプリは都留文科大学の「博物館情報メディア論」の授業の一環として作られたものです。どうしてこのアプリが生まれたのか?!授業の担当で制作に携わった、都留文科大学の日向良和先生にお話しを伺い、図書館学の観点からも昔の地域の資料にアクセスするにはどのような方法があるのかお話を伺いました。

日向先生プロフィール

日向先生プロフィール 日向先生は1973年に都留市で生まれ、1992年から図書館情報大学(後に筑波大学と統合)で学問に励みました。その後、1996年に都留文科大学で図書館司書として配属され、現在は同大学で専任教員として勤務しています。日向先生の専門は図書館学で、都留文科大学をはじめとする様々な大学で司書資格の取得を目指す学生たちに図書館学を教えています。また、都留市役所の職員としても勤務した経験をお持ちです。地元である都留市で多彩な活動をされています。

まちあるきアプリを作ったきっかけ

まちあるきアプリを作ったきっかけ なつみ:アプリ制作のきっかけはどんなことだったのですか?

日向先生:2014年、横浜で開かれた「図書館総合展」という図書館に関するイベントに参加しました。そこでウィキペディアタウン(地域の文化財や観光名所などの情報をウィキペディアに掲載することで地域の活性化を目指す取り組みのこと)の実践に関する報告を聞きました。また、通信技術関連企業である株式会社ATR Creative(現Stroly)が考案した古地図データの活用アプリについても知りました。
 私は2012年から都留文科大学の「博物館情報メディア論」という講義を担当しています。それまで授業内では震災資料のデジタルアーカイブ(様々な文化財をデジタル情報として記録し、インターネットなどで提供すること)を演習として行ってきましたが、演習内容を新しくする必要が出ていました。そのため、「図書館総合展」で学んだアイデアはデジタルアーカイブの実践例として大変魅力的なものでした。図書館学という学問の課題として、その地方の情報や資料が学者でないとアクセスしづらいということもあり、地方の博物館のデジタルアーカイブのモデルになると考え、アプリ制作を決めました。

これまでの都留市の地域資料活用法・課題

これまでの都留市の地域資料活用法・課題 なつみ:地方の資料は特定の人にしかアクセスがないという課題があったのですね。これまで都留市では地域の資料はどのように扱われてたのでしょう?

日向先生:地域資料はあまり使われてこなかったというのが正直なところです。地域史の研究者は地域資料を使用していますが、特に興味がない人々には資料があること自体よく知られていないのが現状です。つまり、地域資料の利用が限られた人にしか開かれていないという課題があると言えます。かつてはデジタルでない紙の資料を利用するには博物館や図書館に行かなければ見ることができず、検索も容易ではありませんでした。都留市では1999年にミュージアム都留が開館したことで、資料が利用されるようになっていきました。現在では博物館によって所蔵資料がウェブで公開されたり、地域史の研究者が個人サイトに情報を載せたりするなどして地域資料は活用されています。また、ウィキペディアに都留に関するデジタル情報が増えたことは都留のPRへ繋がり、観光客が都留を発見しやすくなった一因と考えられます。

制作を通して気づいた都留市の特徴的な街並み

制作を通して気づいた都留市の特徴的な街並み なつみ:制作を通して昔の都留の地図と見比べる中で、興味深かった点はどこでしょう?

日向先生:谷村では昔と比べて道路や水路があまり変わっていない点です。碁盤の目のように90度折れ曲がっている道路があることは昔の地図と変わらないんです。お寺などの古い建造物も昔から場所が変わっていないことが多いです。城下町の名残りが感じられる点だなあと思います。反対に、大きく変わっている地域もあります。朝日曽雌など田舎の方の地図を見比べると、道路や水路などの景色が大きく変わっていることが読み取れました。それは明治大正あたりの時代で洪水が多く、防災の取り組みが行われたためだと考えられています。アプリ制作を通して、昔と今の路地の風景を見比べることができて大変興味深かったです。

アプリを作った手応え

なつみ:アプリを作った手応えはいかがでしたか?

日向先生:地図アプリの可能性を強く感じました。面白い例を出すと、有名なゲーム作品である「あつまれどうぶつの森」では、現実の美術館や博物館でデジタル化されたデータがゲーム中の美術館などに利用されているんですよ。このように、デジタルデータの活用が広がっていることからも今後の可能性を感じています。また、演習を行った学生たちの反応もとても良かったです。学生たちは街歩きをしながら写真撮影をしたりその写真の説明文を執筆したりしました。スマホやタブレットを使って現在の位置と古地図での場所の対比をし、驚いていた様子が興味深かったです。説明文は地域の人々の説明や図書館の資料などをまとめながら作ったのですが、学生たちはこの作業をとても楽しみながらやっている様子でした。

都留市が城下町だったとみんなに知ってもらうにはどうしたらいいのか?

都留市が城下町だったとみんなに知ってもらうにはどうしたらいいのか? なつみ:都留市に城下町だったという歴史が浸透するために必要なこととはなんでしょうか?

日向先生:様々な形での情報発信がもっと必要だと思います。私自身都留市に生まれ長く生活していましたが、歴史や文化で知らないことも多いですし、行ったことがないところもたくさんあります。まずは地域に住んでいる人々に向けた情報発信が必要ではないでしょうか。そして、地域の人々自ら情報を発信していくことも必要だと思います。そうしないと地域資料はなかなか集まりません。情報を聞くだけでなく、自分で調べて発信するということはとても面白くて楽しいことなんです。みんなで地域資料を作っていく方が長続きするということもありますし、地域資料に関する情報発信に地域住民自ら携わることは効果的だと思います。さらに、自分から知るということは地域アイデンティティ(地域に対する誇りや愛着)の形成にも繋がります。自分の住んでいる地域について知り、相手に伝えたいと思う気持ちを育てることがキーになるのではないでしょうか。

編集後記:日向先生は都留での生活が長いということで、地域アイデンティティに関するお話などとても熱心に話してくださったのが印象的でした。参加したイベントからインスピレーションを受けて新たな挑戦をするというのは勇気ある試みだと思い、一学生として大変刺激を受けました。大学の先生の意見をじっくり聞ける機会はなかなかないので、貴重なインタビューだったと感じています!

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