城下町発掘ニュース特集 ②

勝山城築城は浅野氏のおかげ?!
諸説ありの都留の城主事情!!

Written byはーちゃん

小山田氏と秋元氏以外にも勝山城主がいた…?

 城下町つるの歴史は小山田氏と秋元氏による功績が大きいことは以前紹介しました。

しかし、小山田氏と秋元氏の間に他にも城主がいたことをご存知でしょうか?

今回は秋元氏の前に勝山城の城主であった、浅野氏について紹介していきます。

浅野氏が都留に来た理由

 小山田氏が滅ぼされた後の甲斐国は、織田政権のもと分割されますが、本能寺の変で信長が亡くなると、遺領を巡る争いが起こりました。甲斐は徳川家康の支配下となり、郡内領は徳川家家臣の鳥居元忠に与えられました。天正18年(1590年)、豊臣秀吉の勢力により、家康は関東に移封され、谷村には浅野氏が配置されました。

 豊臣は文禄3年(1594年)に、甲斐国の領主に浅野長政・幸長の父子を任命しました。この2人で甲斐国(当時の山梨県全体)の統治をおこなっていました。
そこからさらに、甲斐・河内・郡内の統治者が置かれましたが、甲斐・河内は浅野忠吉が担当したのに対し、郡内は浅野氏重のみで一人に手厚く担当させたことから、豊臣は郡内支配を特別視していたと言われています。

浅野氏重は、浅野家の中の家老で、一族の重鎮的存在でこの氏重が後の勝山城主となります。

あの豊臣秀吉が、谷村を特別視していたと知ると、今都留にいることがさらになんだか嬉しくなりますね!

浅野氏重の谷村での功績

 氏重は、谷村において大きな功績を残しました。

 氏重は都留郡の石高(お米がどれだけ獲れるかを示すもの)を二万石(現在でいう約20億円!)有しており、浅野家の中でも優秀な成績で家老ではありましたが、大名レベルの石高数を誇るといわれています。
また、大坂夏の陣でも戦功を残しています。

 浅野氏は、「家中之法度」を制定し、浅野長政と幸長は甲斐国の領主でありましたが、大阪との仕事の掛け持ちで甲斐国を留守がちであったため、甲斐の仕置と裁判は浅野忠吉(長政の従兄弟)と氏重が一切を取り仕切ることになっていました。

 また、氏重は国境の警固の役目も任されており、山間地を管理していたため、月の半分を甲府、半分を谷村で過ごしていたそうです。
氏重は関東(対徳川家康)と接する部分の監視を任されており、都留郡は極めて戦略的な意味を持つ地域だったこともあり、それだけ豊臣からの信頼が厚かったことが伺えます。豊臣政権は谷村を重視していたと言われています。

 氏重は現在でいうWワーク・2拠点生活のようで、なんだか現代にも通じる新しい働き方をしていたような印象を受けました!

浅野氏とゆかりのある場所

浅野氏とゆかりのある場所  氏重ゆかりの場所といえば、勝山城です。

 勝山城を発掘した際に小山田時代の遺構がみられたという成果があることから、勝山城の基になる砦のようなものを築いたのは小山田氏であるとされています。

勝山城の基礎を作ったのは小山田氏ですが、城として整備したのは浅野氏であるといわれています。

 一方で『甲斐国志』の記述によると浅野氏が勝山城を築いたといわれていることから、立派な城として築城したという見方があります。

 これは一説ですが、他の地域に比べ、城を修築して支配の拠点にするケースは珍しかったため、勝山城はそうした人物にふさわしい城として整備されたのではという考察があります。
しかし、明確な資料としては残っていないのが現状で、勝山城は誰が建てたといえるのかは、諸説ありの議論になっています。

 また、浅野氏は谷村で検地を行いました。
当時、検地は石高を国が把握するために行われましたが、米を計る升のサイズが地域ごと異なっていたので、その升のサイズを統一したのが豊臣秀吉でした(太閤検地)この太閤検地を担当したのが氏重でした。

 検地の結果、土地の概要を把握した氏重は下谷地区の羽根子にある「長生寺」に土地を寄進しました。長生寺は末寺を持つ大きなお寺でした。浅野氏は長生寺を郡内の寺院の中でも一目置いていたことがわかります。

 氏重はその時に長生寺に寄進状を提出していることがわかっていて、その文書は現存しています。

お知らせ

お知らせ  今回は勝山城を立派に整備した、谷村での浅野氏の歴史を紹介しました!

 現在ミュージアム都留では、『甲斐国志』で都留郡の記事の編纂責任者を務めた森嶋其進の企画展が開催中です。
この森嶋氏が、浅野氏と勝山城の関係を含む都留郡の歴史を調査したといわれています。
ぜひミュージアム都留に足を運んでみてください。
「ミュージアム都留来場ポイント」も100Pもらえます!
※ポイントの獲得には入館料をお支払いいただく必要があります。
※ポイントが取得できるのは1回のみとなります。

開催期間:令和5年12月9日(土曜日)~令和6年2月25日(日曜日)
休館日 :毎週月曜日、祝日の翌日(祝日は開館)
観覧料 :一般300(210)円 高校・大学生200(140)円
※JAF会員、20名以上の団体は( )内の料金です。
※企画展開催期間中は小中学生とその保護者(一家族まで)と県立都留高等学校、県立都留興譲館高等学校、県立産業技術短期大学校、健康科学大学、都留文科大学の生徒・学生は無料となります

イベント
○史料読解講座「甲斐国志草稿を読む」
森嶋其進が『甲斐国志』を編纂する段階で作成した「甲斐国志草稿」(都留市指定文化財)を読解しながら都留の歴史を学びます。
日時:令和6年1月27日(土曜日)13:30~15:30
定員:20名(事前申込優先)
○まち歩きイベント「村絵図をみながら谷村を歩く」
「谷村城下町絵図」を参照しながら谷村の城下町を巡ります。
日時:令和6年2月10日(土曜日)9:30~12:00
定員:10名(事前申込制)

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