NHK大河ドラマ「どうする家康」にも出てきた武将がかつての郡内領主って知ってた？！
都留を支えた鳥居氏
鳥居元忠とはいったい誰？
戦国武将たちが天下統一のためにしのぎを削る安土桃山時代の三河国(現在の愛知県)に鳥居元忠は生まれました。
元忠の父親は鳥居伊賀守忠吉といい、徳川家康が幼少期の頃から仕え、周りより優れた家臣として評されていました。それを引き継ぎ元忠はなんと13歳から家康に仕えることとなりました。元忠が亡くなったのが61歳で、家康57歳の時なので、実に48年もの月日を家康に捧げたということですね。
永禄元（1558）年、元忠は家康（当時の名前は元康）の初陣となる三河（愛知）の寺部城攻めに参加し、その後も大高城の兵糧入れ、遠州懸川（掛川）城攻略、姉川（滋賀県）の合戦、三方原（静岡県）の合戦、長篠（愛知県）の合戦、諏訪原（静岡県）城の攻撃など、数々の戦を共にしました。
鳥居氏が都留に来た理由とは？
では、鳥居氏は都留市とどんな関わりがあるのでしょうか？都留市と関わるまでには長い長い歴史があります。谷村に本拠を置いていた武田家臣の小山田氏が1582年の3月に滅亡し、同年6月本能寺の変によって、織田家の甲斐国支配もわずか3ヶ月で終わります。
そこでいち早く侵略を図ったのが北条氏と徳川氏でした。北条氏は甲斐都留郡に討ち入り、谷村の小山田の館を根城とし、さらに御坂を越えて国中に攻め入ろうとしていました。一方徳川軍も古府中(甲府)に陣を敷き、北条氏を迎え討つ体勢をととのえたとされています。
この二家の対立の中で 徳川家康の家臣であった元忠の功績は抜群であったとされています。家康はこれを讃え、元忠に都留郡(現在の郡内全体地域)を与えて都留郡領主として谷村に在住することとなりました。
鳥居氏は都留でどんなことをしたの？
郡内領主として鳥居元忠がどのように民政を行ったか、これを知る資料はほとんどないとされていますが、家康が批判を受けないような民の心をまとめることに心を尽くし政策を立てたように家康家臣として、鳥居氏が行った政策も同様であると考えられます。
鳥居元忠は、「行いをつつしみ、礼儀正しく、主従よく和し、下の者は哀れみ、賞罰は軽重を糺して依怙ひいきをせず、人の人たる道は誠実をもって本とせよ」という言葉を残しています。
このような誠の心を大切にする鳥居氏の民政はきっと良政であったことでしょう。
また、鳥居氏の特徴としては、領地替えによって元忠が郡内を去った後、息子の成次が再び郡内領主を務めました。
成次は、六人兄弟の内の三男でした。13歳の頃から父元忠と谷村で過ごしたと考えられており、成次は谷村城主を31年間務めました。成次は、神仏崇敬の心が強い人だったと言われており、その証拠に郡内の多くのお寺や神社を再建しました。八朔祭のルーツとしても有名な「生出神社」は成次が造営したものであり、吉田の火祭りで有名な「北口本宮富士浅間神社」を再建しました。
鳥居元忠が都留を去った理由とは？
1590年、豊臣秀吉の小田原征伐と共に家康は北条を攻めました。「鳥居氏は郡内に在住する間、常に北条と隣り合わせで対峙していたため、北条を最もよく知りこの戦いになくてはならない将として活躍した。」とされています。 一万一千もの兵をもって戦った功績により秀吉からも家康からも感謝状が送られたそうです。
小田原征伐の後、家康が関東の国を付与されたことによって元忠も同時に千葉県の城主となったことにより、元忠の郡内領主としての生活は幕を閉じます。
先述の通り、元忠が去った後も息子の成次が郡内領主を踏襲し、3代目の成行まで続きます。
鳥居氏にゆかりのある場所が都留市にある！
鳥居元忠は神仏に対して崇敬心が強い人でした。谷村にある長安寺は鳥居氏が開基し、当時は浄土寺院が無かったため浄土宗の種を蒔いた人でもあるとされています。
また、さまざまな寺社を再建した元忠の息子の成次は、都留市内に現存する寺社では、用津院（金井）、桂林寺（金井）に広教寺（大幡）、宝鏡寺（夏狩）、長生寺（羽根子）への寺領の寄進がみられ、神社としては前記の生出神社造営の他に小野熊野権現への社領寄進をした記録が残っています。
NHK大河ドラマ「どうする家康」でも鳥居元忠の活躍は放映されました。
都留市では歴史上の記録だけでなく、現在に至っても現存するお寺などから鳥居氏の功績を日常生活から身近に感じ取ることができます。
この記事が鳥居氏と都留の繋がりを知るきっかけとなり、身近に感じていただけたら嬉しいです！
＜写真：藤原広実 画『関ケ原合戦絵巻』[1],写. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2573500 (参照 2024-02-16)、を加工＞
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