「都留は屋根のない博物館だ」都留フィールド・ミュージアム構想ってなあに? 北垣先生に聞いてみた!
地域交流センター長の北垣憲仁先生のもとへ
都留市の歴史を振り返るのに、都留文科大学の存在は欠かせません。都留文科大学の地域交流研究センターでは、都留を「屋根のない博物館」としてとらえ、自然や文化を学ぶ「都留フィールド・ミュージアム」構想を推進しています。今回はこの「都留フィールド・ミュージアム」構想の歴史や、センターの取り組み、大学と地域の交流などについて、都留文科大学の教授で、地域交流研究センターのセンター長でもある北垣憲仁先生にお聞きしました。
フィールドミュージアム構想について
すず子:「都留フィールド・ミュージアム」構想とは、どのようなものなのでしょうか?
北垣先生:都留という地域全体を「屋根のない博物館」に見立て、そこにある自然や人々の暮らしから学ぼうという構想です。ふつうフィールド・ミュージアムやエコ・ミュージアムというと、町おこしの手段の一つとして使われることも多いですが、地域交流研究センターが推進しているこの構想は、もっと根本的な、地域との出会いや探究、それらを通じて人のネットワークを広げることなどを目的としています。
すず子:この構想はいつ頃生まれたのでしょうか?
北垣先生:1980年代に都留文科大学の元学長でもある大田堯先生が、都留の自然に直にふれて学んでいこうという「都留自然博物館」を構想され、それと同時期に今泉吉晴先生(都留文科大学 名誉教授)「都留フィールド・ミュージアム」を構想されたんです。
すず子:都留フィールド・ミュージアム」構想を推進していくなかで、地域交流センターでは具体的にどのような取り組みを行なっているのでしょうか?
北垣先生:星空観察会や湧水さんぽなど、たくさんの事業を行っています。今泉吉晴先生が長年やっていらしたムササビ観察も受け継いでいます。現在も多くの参加者がいます。また、市民の想いを聞き、それを記録として残すことで地域の魅力を再発見しようという地域交流研究センターの機関誌『フィールド・ノート』の立ち上げも行いました。
先生が都留文大入学〜研究者として着任まで
すず子:先生が都留文科大学に着任されたのはいつ頃ですか?
北垣先生:大学に勤め始めたのは1997年からですが、実は私は都留文科大学出身なんです。小学校の先生になりたいと思っていたので、初等教育学科に入学しました。
すず子:そうだったんですね。なぜ教師ではなく、研究の道を選ばれたのでしょうか?
北垣先生:私は大学で理科を専攻しました。子どもの頃から動物が大好きだったこともあり、動物学の研究室に入ったんです。そこで生きものたちがいきいきと暮らす場所に自ら行って観察することの大切さや面白さを学び、研究の道に進みました。
すず子:卒業後、研究のほかに取り組んでいたことはありますか?
北垣先生:生きものを身近に感じられる都留の魅力を伝えるために、都留をフィールドとした図鑑や絵本の制作をしていました。その時に感じた本を作る面白さを学生にも知ってほしいということもあって、『フィールド・ノート』を発足させたんです
すず子:先生の様々な経験が、地域交流研究センターの活動にいかされているんですね。
都留の地域と学生の繋がりの強さ
すず子:都留の市民と学生との交流について教えてください
北垣先生:そもそも都留市では、「大学をつくってほしい」という市民からの要請があったそうです。そういった意味で、都留文科大学は「市民がつくった大学」といってもいいんですね。だからこそ、地域の方々と大学との関係性はとても大切で濃いものなんです。
すず子:私も都留文科大学の学生ですが、サークル活動などを通して地域の方々とお話しする機会は多いです。先生が学生の頃は地域の人とどのくらい交流がありましたか?
北垣先生:私が学生の頃は下宿が盛んで、大家さんとの距離も近かったですね。食べ物を分けてくれたり、食事をつくってくれたり…。
谷村の地域は城下町の区画が残っていて、家同士が近くご近所付き合いも濃いため、学生との交流も生まれやすかったのかなと思います。都留市民の優しさの理由のひとつだと思います。
すず子:なるほど〜。地域の方と学生の繋がりの強さの理由は城下町だった歴史も関係しているのかもしれないですね。
北垣先生:都留文科大学は、地域の方々とともに発展してきたんです。そういったつながりを大学の財産として受け継いでいくことも、地域交流研究センターがもつ目的の一つです。そのために、今後も地域事業やフィールド・ミュージアムの機能の拡大など、さまざまなことに取り組んでいきます。
編集後記
今まで都留フィールド・ミュージアム構想や、地域交流研究センターの活動について深く知る機会があまりなかったのですが、都留文科大学では、豊かな自然や地域の人々との距離が近いからこそ、多様な学びを得られるということをインタビューを通して実感することができました。
北垣先生、ありがとうございました!