城下町発掘ニュース特集 ②

行楽の秋!
お城山(勝山城跡)ハイキングのススメ

Written byのり

お城山ハイキングのススメ

特に暑かった夏が過ぎ、少しずつ秋が深まる今日この頃。今年の秋は、お城山(勝山城跡)にハイキングに出掛けてみませんか?
 つるのルーツでは「つる歴史探訪ARスポット」と題し、都留の歴史スポットを実際に訪れ、スマートフォンなどの端末をかざすと、城下町だった頃の様子がARで見ることができる取り組みを行っています。そのうちお城山の山頂は、春夏秋冬で季節に合った風景に変化するのですが、10月から秋バージョンに!
 そこで今回は、お城山ハイキングの体験談と、ビュースポットや歴史的な見所など、おすすめポイントをご紹介します。

◆お城山(勝山城跡)◆
 都留市川棚にある標高571mの山。登山道が整備されていて、富士急行線谷村町駅から山頂まで歩いて30分ほど。頂上からは谷村の町を一望できる。「勝山城(かつやまじょう)」の跡地で、石垣などの遺構も残されている。
 参考:都留市公式ホームページ都留市観光協会ホームページ

いざお城山へ!気軽に登れてちょうどいい運動に!

いざお城山へ!気軽に登れてちょうどいい運動に!  訪ねたのは、夏の終わりの晴れた早朝。取材スタッフ(登山に不慣れな30代主婦)はお城山初挑戦。都留市公式ホームページに掲載されている図の登山ルートをもとに、赤で記された従来の登山道を進む計画です。

入り口に設けられた駐車場から、いざ出発!登り始めてすぐは、生い茂る木々で日差しが遮られ、暑さが少し和らいでいました。葉には朝露がキラリ。

 歩き始めて約5分で「内堀」。その3分後、少し開けた場所に「川棚見張台」。さらに5分進むと「三の丸」と「帯郭(おびぐるわ)」。帯郭には木々も少なく、都留市街地がしっかりと見られました。その後、3分も経たないうちに「本丸」=お城山山頂=つる歴史探訪ARスポットに到着です!山頂からは、都留市街地に加え、富士山も見ることができました。



 しばらく休憩したのち下山。所要時間はトータルで40~50分ほどで、まさに「ちょうどいい運動」。また、途中、どんぐりや栗のいがが落ちていたり、虫の声や川の音が聞こえたりと、しっかりと自然も感じられました。

お城山の見所は本丸・・・の先?!
ミュージアム都留学芸員のおすすめスポット

お城山の見所は本丸・・・の先?!<br>ミュージアム都留学芸員のおすすめスポット 大満足で登山を終えた取材スタッフでしたが、お城山をもっと知りたい!と、都留の歴史と言えばココ「ミュージアム都留」を訪ねました。ここには、お城山のジオラマが常設展示されています。また期間限定の企画展ではお城山で発掘された土器や古い硬貨なども展示されていました。(※2024年9月末現在、企画展は終了しております。)
教えてくださったのは「つるのルーツ」でおなじみ、学芸員の福島怜さんです!

のり:さっそくですが、お城山の見所は?

福島さん:本丸や帯郭は、谷村の町が見渡せますし、富士山も見えて、景色が良いのでおすすめですが、実は本丸だけで止まってしまうのは、勝山城はちょっともったいないんです。

のり:・・・と言いますと?

福島さん:まず、本丸のすぐ裏(西側)に、古い石垣があるんです。これは勝山城跡にある遺構の中で一番古く、1,600年前後のものと推定されています。「野面積み」と呼ばれる手法で、自然にある石を加工せずに積んでいく、古式な石垣の作り方がされているんです。それを近距離で見られるというのは、かなり価値があるものだと思います。山頂にあるトイレの横の道を進んだ先にありますよ。



福島さん:そのさらに先もおすすめです。「大沢見張台」を目標に進んでください。そこまで行くと、途中に2つ、見所があります。まず1つは、「お茶壷蔵の跡」です。

のり:お茶壷蔵の跡?

福島さん:はい。江戸時代の「お茶壷道中」で運ぶお茶を保管していた蔵と推定される建物跡です。もともとは違う場所だと推定されていたのですが、平成17年から21年にかけて行われた勝山城跡学術調査で発見されました。

勝山城はもともと、普段は城主不在の、いわば「逃げるためのお城」で、普段使いはせずに攻められたときに使うお城でした。この辺りは、戦国時代の勢力争いの境界地点でしたから。ただ、戦が無かったので、要害城としての役割は担わなかったわけですよね。
 それが江戸時代以降は、お茶壷蔵や塩蔵といった貯蔵庫のような役割に変わり、お茶壷道中が通っていた間はしっかりとお茶を保管していた。役割を果たしたわけです。お茶壷道中というと、当時は国の一大行事ですからね。それを谷村が担っていたと考えると、すごいことですよね。
 ここからお茶を取り出して運んで行った。茶壷蔵跡を見ながら、歴史に思いを馳せてもらえたらと思います。

のり:遠い昔の歴史が、今と繋がっているように感じますね!では、2つ目の見所は?

福島さん:大沢見張台の手前なんですが、「竪堀(たてぼり)」という堀です。敵の侵入を防ぐために作られた深い堀で、深さ約3m、幅は約10mです。もしかしたら昔はもっと深かったかもしれません。これに沿って、登山道も一旦下に降りて、また上に登るようになっているので、竪堀を体験してみると良いと思います。
 本丸の先は、少し歩きづらいところもあると思いますので、注意して進んでくださいね。



お城山の四季折々の風景

お城山の四季折々の風景 のり:「つる歴史探訪ARスポット」として、お城山は、春夏秋冬で違う風景が見られます。実際のお城山も、季節によって違いますか?

福島さん:そうですね。まず、春は桜の名所として皆さんに親しまれていますよね。
 夏は、暑いのでおすすめはできないですね。というのも、お城は、見張り台があるくらいなので、木が生えていなかったんですよね。お城山はのちの時代に植樹されていますが、それでも日当たりが良好なので、とにかく暑いです。
 秋、これからの季節はちょうどいいと思います。お城山そのものが、というよりも、お城山から見て、反対側の山・円通院の方って、紅葉が綺麗だと思うんですが、それをお城山の上から見渡すことができますよ。
 冬は、夏の反対で、日が当たるところが多いのが良いですよね。
あとは、天気です。暑すぎない日を選ぶことと、前日に雨が降った日は足元が滑りやすくなるので避けた方が良いと思います。涼しくて気持ちのいい、これからの季節に、ぜひ出掛けてみてください!

<取材後記>

福島さんのお話を伺って、歴史をほんの少し学ぶだけで、また違った楽しみ方ができることが分かりました。つるのルーツ内にも、いくつかお城山に関連する記事が掲載されています()ので、ぜひご覧ください。

 また、お城山で「つる歴史探訪ARスポット」の利用を考えていらっしゃる方は、登山前に一度動作確認をしてからお出掛けください。ご不明点はこちらまでお願いします。

 自然も歴史も一度に感じることができるお城山。10月からはARも秋バージョンへと変わります。
この秋のお出かけにぜひ!!

※お城山登山の際は、適切な服装・靴を着用してくださいますようお願いいたします。

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